GRAIN - 穀物


 ューヨークにクマさんのお気に入りのウクラニア料理店があるのですよ。ここは24時間営業なので徹夜した明け方など、小腹が空いたときに良く通ってました。ここのカーシャと呼ばれる炒ったそばの実を炊いたものなんか素朴な味でロシア風ロールキャベツと良く合ってウマいですよ。
 メニューのほとんどはロシア料理なのですがペイストリー(調理パン)や軽いサンドウィッチなど何品かアメリカのコーヒーショップのような料理もおいてあります。で、たまーにオーナーのおばちゃんが気が向いたときにTODAY'S SPECIALと呼ばれる日替わり特別料理を作ったりするのです。それはラザニアだったりチキンポットパイだったり、まあ節操もないしロシア料理と関係もないのですが、おばちゃんが家で良く作ってる料理なのかなぁ、これが結構ウマいのですよ。
 ある日、クマさんとオレともうひとりコニーという友達でその店に夕食を食べに行きました。壁にかかったメニューを見るとTODAY'S SPECIALとしてポレンタと書いてありました。ポレンタ、ポレンタって何だろう?コニーに聞いても知らないとの答え、う〜んと悩んでいたら丁度注文を取りにおばちゃんが来たので「ポレンタって何?」とおばちゃんに尋ねると...「EVERYBODY LIKES POLENTA!(みんなポレンタ好きだよっ)」「へぇ、そうなんだ、それでポレンタってどんなものなの?」とオレがも一度聞くと...ニコニコしながら「エーベバデ ライクス ポレンタ!」...そっか、おばちゃんにはオレの英語が分かりづらかったのね、それじゃコニーよろしく頼むわ。
 「ポレンタってどんな料理なの?」ときれいな英語でコニーが聞くと...「エーベバァデ ライクス ポレンタァ!!(ニッコニコ)」「.....」

 あ、おばちゃんのポレンタは連呼するだけあって美味しかったですよ。





WHEAT  小麦



 
 WHEAT FLOUR (小麦粉)
アメリカで小麦粉は単にFLOURと呼ばれることが多いです。タンパク質の含有量によってブレッド粉、オールパーパス粉、ケーキ粉と種類分けされています。このタンパク質が水と合わさってグルテンになります。
 
 ALL-PURPOSE FLOUR (中力粉)
ALL-PURPOSE FLOUR(オールパーパスフラワー)は9〜12%のタンパク質を含む、日本でいう中力粉、うどん粉にあたる粉です。普通アメリカのレシピでFLOURと記されている場合はこの粉のことを指します。BLEACHED(ブリーチド)と呼ばれる酸素、塩素ガスなどで漂白したものと、漂白をしていないUNBLEACHED(アンブリーチド)があります。
 
 BREAD FLOUR (強力粉)
BREAD FLOUR(ブレッドフラワー)は12〜14%のタンパク質を含む、日本でいう強力粉にあたる粉です。名前の通りパン作りに適しています。
 
 CAKE FLOUR (薄力粉)
CAKE FLOUR(ケーキフラワー)は6〜8%のタンパク質を含む、日本でいう薄力粉にあたる粉です。スーパーマーケットでは小麦粉のコーナーに箱入りで売られています。この粉でスポンジケーキを焼くときちんと膨らみますよ。クッキー作りにも適していてCOOKIE FLOURと呼ばれることもありますね。天ぷらの衣もこのケーキフラワーを使うとカラッと揚がりますよ。
 
 PASTRY FLOUR (うどん粉)
PASTRY FLOUR(ペイストリーフラワー)は8〜10%のタンパク質を含む、日本でいううどん粉にあたる粉です。街のスーパーマーケットでこの粉を見かけることはあまりありませんね。うちでうどんを作るときはオールパーパス粉を使っています。
 
 WHOLE WHEAT FLOUR (全粒粉)
WHOLE WHEAT FLOUR(ホールウィートフラワー)は小麦をふすまごと粉にした日本でいう全粒粉です。大抵パンなどを焼くときに使われますが、この粉はグルテンを殆ど含んでいないので普通VITAL WHEAT GLUTEN(グルテン粉)や強力粉を混ぜて補います。GRAHAM FLOUR(グラハムフラワー)と呼ばれることもあります。

このグラハム粉、グラハムクラッカーもそうですがアメリカではグラァムと発音します。オレがキッチンで「グラハム、グラハム」って言い続けていたらコネリーが「あ〜もう、グラハムじゃないわよ!グラァーム!うちのおばあちゃんみたいな言い方やめてー!」とたしなまれてしまいました。コネリーのおばあちゃんはイタリア人だそうですから、日本のグラハムって呼び方はヨーロッパから来たのでしょうね。
 
 SEMOLINA (セモリナ)
DURUM WHEAT(デュラム小麦)を粉末にしたものです。DURUM FLOUR(デュラムフラワー)とも呼ばれたりします。イタリア料理が流行ったおかげで有名になりましたよね、グルテンをとても多く含むので、パスタを作るのに非常に適した粉です。
 
 GLUTEN FLOUR (グルテンフラワー)
VITAL WHEAT GLUTEN(ヴァイタルウィートグルテン)という名前でも売られている小麦のグルテン粉です。大抵はライ麦やオート麦などグルテンの少ない粉と合わせてパンを焼くときに使いますが、ブレッドフラワーにこのグルテン粉を足して更にモチモチのパンを焼いたりもします。
 
 COUS COUS (クスクス)
クスクスはセモリナを塩水と合わせ圧力をかけたのちに乾燥粉砕したものだそうです。元々はチュニジアとかモロッコなどの北アフリカ料理ですね。
 
 WHOLE WHEAT (ホールウィート)
WHEAT BERRIES(ウィートベリー)とも呼ばれる小麦の外皮を取り除いた小麦粒です。茹でてスープの具やサラダに良く使われます。ウイスキーや小麦ビールの材料にもなりますね。オレはこれを植木鉢にまいて猫用の草を育てます。
 
 BULGUR (ブルガー)
ブルガーはウルトラマンタロウの第12話に出て来た怪獣です。嘘です、すみません。でも怪獣っぽい名前ですよね、ブルガー。ホントは小麦の外皮を取り除いた粒を蒸して、砕いて乾燥したものです。大抵は沸騰したお湯と混ぜて戻し、アメリカで広まっている中近東の料理TABOULI(タブーリ)の材料にします。



CORN  とうもろこし



 
 CORN MEAL (コーンミール)
コーンミールはスイートイエローコーンまたはホワイトコーンを乾燥して砕いたものです。茹でてポレンタにしたり、小麦粉と混ぜてパンやマフィン、コーンブレッドなどに使います。
 
 CORN STARCH (コーンスターチ)
とうもろこしのでんぷん粉です。片栗粉の代りに使えますがとろみは少し弱いですね。
 
 CORN FLOUR (コーンフラワー)
コーンフラワーは各国で違ったものを指す様です。日本ではコーンミールを細かくしたもの、イギリスではコーンスターチ、そしてアメリカではトルティーア用のMASA HARINA(マサハリナ)やMASA FLOUR(マサフラワー)を指します。 これらはHOMINY GRITS(ホミニーグリッツ)を細かくしたものです。
 
 HOMINY GRITS (ホミニーグリッツ)
代表的な南部料理のコーングリッツの材料で、ホミニーを乾燥して細かく砕いたものです。茹でてチーズやバターを混ぜて食べます。
 
 HOMINY (ホミニー)
デント種やフリント種などのフィールドコーン粒を灰汁につけて化学変化させたもの。独特のクニクニとした食感をもっています。よく酒場などのつまみとして出てくるジャイアントナッツとかコーンナッツと呼ばれてるやつありますよね、あれはこのホミニーを揚げたものです。
 
 POPCORN (ポップコーン)
ポップ種のとうもろこしを乾燥させたもの。これを炒って膨らませたものがよく見るポップコーンです。最近では電子レンジで作る袋入りのものが主に売られていますね。昔はアルミホイルで作られた簡易フライパンみたいなやつが流行ってましたよね。火にかけるとプク〜ッと膨れてくるんですよねぇ。オレはこのプク〜ッが好きで好きで、それが面白くて、喜んで見ているうちに火にかけすぎてよくポップコーン焦がしてました。



BUCKWHEAT  そば



 
 WHLE BUCKWHEAT (そばの実)
ホールバックウィートは生のそばの実ですが、日本の玄そばと違って黒い外殻を取り除いた状態で売られています。アメリカではこれを炊いて、油で炒めて食べます。
 
 KASHA (カーシャ)
これは、ROAST BUCKWHEAT(ローストバックウィート)とも呼ばれる、そばがらを取り除いて炒った蕎麦のみです。元々はロシアのもので米のように炊いて食べます。ウクラニアン料理店でロシア風ロールキャベツと一緒にカーシャを食べるのが好きです。
 
 BUCKWHEAT FLOUR (そば粉)
BUCKWHEAT FLOUR(バックウィートフラワー)はそば粉で、アメリカでは大抵パンケーキの材料に使われています。アメリカのそば粉で蕎麦を打ってみたこともあるのですが、なんか上手くいきませんでしたね。そのときはバックウィート8に対してオールパーパス粉を2混ぜてから捏ねて、パスタメーカーで切ったのですがボロボロにくずれてしまって、その後パスタメーカーを掃除するのが大変でした。それじゃあと、手で切ってから沸騰する湯の中に入れたら、やっぱりボロボロくずれて、ドロドロの蕎麦ジュースになってしまいました。



OATS  オート麦



 
 OATS (オート麦)
OATS(オーツ)は日本でオート麦やカラス麦、燕麦(えんばく)と呼ばれるものです。カラスとかツバメとか鳥の名前が付いていますが、殻付きのオーツってホントに鳥みたいな形をしているのですよ。普通、店で売られているオーツは外皮を取り除いた粒でOAT GROATS(オートグローツ)、WHOLE OAT GROATS(ホールオートグローツ)、WHOLE OATS(ホールオーツ)などの名前で売られています。ホール&オーツって懐かしいですね。
 
 OATMEAL (オートミール)
これはオート麦の押し麦ですね。良くROLLED OATS(ロールドオーツ)とかOLD-FASHIONED OATMEAL(オールドファッションドオートミール)という名前で売られているものはこれです。水や牛乳で茹でてオートミールとして食べたり、シリアルやグラノラに混ぜたり、小麦粉と混ぜてクッキーやパン、マフィンなどを焼いたりと、このオーツはアメリカで大活躍してます。栄養があって身体に良いらしいですよ〜

INSTANT OATMEAL(インスタントオートミール)として売られているものはこの押し麦を調理して乾燥したものです。QUICK OATMEAL(クイックオートミール)は茹で時間を短縮するために押し麦を細かく砕いたものです。
 
 STEEL-CUT OATS (スティールカットオーツ)
名前のごとく外皮を取り除いたオーツを細かく切ったものです。これを使ってオートミールを作ると押し麦のものより麦の歯ごたえがでます。IRISH OATS(アイリッシュオーツ)と呼ばれたりもしますね。



BARLEY  大麦



 
 BARLEY (大麦)
BARLEY(バーレイ)といえばビールですね。この外殻付きの大麦を炒ってモルト(麦芽)と一緒に茹でたものがビールの素で、じっくり濃い色に炒れば黒ビールやダークエールになり、軽く炒ればラガービールやライトエールにとなります。
 
 MALT (モルト)
モルトは麦芽です。大抵は粉末で売られていますね。この粉を牛乳に混ぜたりして飲んでいます。日本でいう強い子のミロですね。あ、アメリカにもミロはありますよ。
 
 PEARL BARLEY (大麦粒)
パールバーレイは大麦の外皮を取り除いた粒です。大抵は茹でてスープの具に使われます。
 
 ROLLED BARLEY (ロールドバーレイ)
BARLEY FLAKES(バーレイフレークス)とも呼ばれる大麦の押し麦です。スープのとろみ付けやシリアルに使われます。この押し麦を砕いたものはBARLEY FLOUR(バーレイフラワー)と呼ばれ、やはりスープのとろみを付けるのに良く使われていますね。



RICE  米



 
 LONG GRAIN RICE (ロンググレインライス)
長さが6ミリ以上の細長い米です。アメリカのスーパーマーケットで米というと主にこの長粒米を指しますね。炊き方は米1:水1.5を鍋に入れ、蓋をして中火にかけて沸騰したら弱火に落とします。水分が殆どなくなったら、鍋を火から外して5〜10分蒸らして出来上がりです。あ、でも蓋の重さや鍋の厚さなどで調理時間や火の温度は変わってくると思います。長粒米は通常研がないのですが、オレはまず米の匂いを嗅いでみて糠臭いなぁ〜と感じたら研いでます。ENRICHED RICE(エンリッチドライス)と書かれているものは日本でいう強化米ってやつです。

長粒米の種類で香り米というものも時々売られています。BASMATI RICE(バスマティライス)はインドの香り米で、やっぱりインドカレーに合いますね。JASMINE RICE(ジャスミンライス)はタイや中国で良く食される米でバスマティライスよりモチッ、クニッとした食感が強いと思います。
 
 MEDIUM GRAIN RICE (ミディアムグレインライス)
5〜6ミリくらいの長粒米より少しだけ丸っこい米です。中粒米なので長粒米よりも少しモチモチしているのかなと思ったのですが一緒ですね。ジャンバラヤやパエリアを作るのに向いています。
 
 SHORT GRAIN RICE (ショートグレインライス)
「ショートグレインだったらみんな日本の米に似た味やろ〜」とスーパーブランドのものなんかを買って食べたりすると、口をアウアウさせ、よだれとご飯つぶをこぼしながら「マズ〜マズ〜〜ッ」と泣くことになりますね。

スーパーでは日本の米に近いものはSUSHI RICE(スシライス)という名前で売られていたりしますがアジア系のマーケットで買うより値段は少し割高です。
 
 BROWN RICE (ブラウンライス)
ブラウンライスは日本でいう玄米です。スーパーで売られているものは大抵ロンググレイン種の玄米ですが、自然食料品店に行くと短粒米や中粒米、もち米の玄米も売られてますね。

良く、このロンググレイン種の玄米とワイルドライスを混ぜたものが肉料理のつけ合わせに出されます。これ結構好きなんですよね。
 
 SWEET RICE (もち米)
SWEET RICE(スイートライス)GLUTINOUS RICE(グルテナスライス)STICKY RICE(スティッキーライス)とも呼ばれるもち米です。今でこそ、あきたこまちがあったり西海岸では田んぼで米を作ったりしていますが、昔はこのもち米とパサパサの短粒米しかアメリカでは手に入らなかったらしく、日本料理店などは短粒米にもち米を混ぜて寿司を握っていたりしたそうです。



OTHER MEAT  その他



 
 CEREAL (シリアル)
元々シリアルは病人食として作られた穀物のおかゆです。それが身体に優しいと言うことで、そのうちアメリカの朝の食卓に並びはじめ、定番の朝ご飯になりました。いまでもオート麦粥のオートミールや小麦粥のクリームオブウィートなど色々な種類の穀物粥がスーパーマーケットの棚に並んでいますね。あ、もち米粥もあるのですよ。クリームオブライスといいます。このように穀物を煮たものはホットシリアルと呼ばれます。で、逆にコーンフレークなどのシリアルはコールドシリアルと呼ばれています。
 
 MILLET (キビ)
MILLET(ミレット)は日本でいうキビのことです。これのチーズスフレは美味しいですよぉ。茹でてバター炒めしたものを肉料理のつけ合わせにしたりします。味はとうもろこしに似てますね。そういえばとうもろこしのことをトウキビって呼びますよね。昔は日本でももっとキビを食べていて、とうもろこしが日本に入って来たときに「あんら、これキビの味にそっくりだわさ」って思ったのでしょうね。
 
 RYE (ライ麦)
RYE(ライ)は普通パン用につかわれます。ライブレッドですね、ライウイスキーというのもあります。ライ麦粒で売られていることはあまりなく、押し麦のRYE FLAKE(ライフレーク)や粉末のRYE FLOUR(ライフラワー)を良く見かけます。
 
 WILD RICE (ワイルドライス)
ワイルドライスはライスという名前が付いていますが実はマコモダケと同じ種類の水生植物の実だそうです。茹でたものを良く肉料理のつけ合わせなどにしますね。オレもプチプチクニクニの食感が好きで良く食べます。